イエスは知っている

ある晩のこと、泥棒が一人とある家に入り込んだ。
懐中電灯で辺りを照らし、何か金目の物はないかと探りを入れていたところ、暗闇の中から声がした。
お前が入って来たのをイエスは知ってるぞ…'
泥棒は心臓が飛び出るほど驚き、すぐに懐中電灯を消して、そのまま固まった。


しばらく経ったが、それ以上何も聞こえてこないのをいいことに、泥棒は首を振ってまた部屋を探り始めた。
ステレオを発見し、これを持ち去るためにコードを引き抜こうとしたちょうどその時、まるで啓白の鐘のようにはっきりと声が聞こえた。
イエスはお前を見ているぞ…'


度肝を抜かれた泥棒は、懐中電灯で狂ったように辺りを照らしながら、声の主を必死に探した。
ついに泥棒の懐中電灯が部屋の隅っこで止まり、一羽のオウムを照らし出した。

‘なんだ、オウムかよ!'
泥棒はオウムをシーっと黙らせようとした
‘そのとーり!'
オウムはうれしそうに、キィーキィーと叫んだ。
‘あいつが見てるぞって教えてやろうとしただけさ…'


泥棒はとたんに落ち着き払って、
‘なんだ、親切そうにしやがって…一体お前は何様だっていうんだ!’
モーゼ!' と、オウムは答えた。
‘モーゼだと?' 泥棒はあざ笑いながら言った。
‘鳥にモーゼなんてな名前を付けるたぁ…この家のモンはどんな奴らだよ!'


‘そりゃ、ロットワイラーにイエスって名前を付けるような奴らさ!’