とあるビジネスマンがいた。
ビジネスにおいては大成功者だったが、そろそろ年老いてきて、
後継者に座を渡す時が近づいている事には気が付いていた。
彼は、重役や息子達の中からではなく、
何か変わった方法で後継者を抜擢する事を思いついた。


まず彼は会社にいる全ての若い社員を招集して言った。
「諸君、そろそろ後継者を決めて、私自身は引退する時が来た。
次の最高経営責任者だが、諸君の中から選ぼうと思う」
若い社員達に衝撃が走ったが、構わず現CEOは続けた。
「手始めに今日、一人ひとりに種を配るとする。それぞれとても特別な種だ。
諸君にはこれを植え、水をやり、今日からちょうど一年後に
この場所へ戻ってきてもらいたい。
もちろん、一年間世話をし、育てた種を一緒に持って来るように。
諸君が持ってきた植物をもとに審査し、
それから次のCEOを決定するから、そのつもりで。」


その日若い社員に交じり、ジムも皆と同じように種を受け取った。
そして家へ帰ると、興奮してその日の出来事を妻に報告した。
話を聞くと彼女は鉢や土、堆肥などを用意してやり、
ジムはそこへ種を植えた。
ジムは種に毎日水をやり、何が育つのか見つめているのだった。
3週間後社員達が、芽を出し伸び始めた種について次々に話し始めた。
ジムはきちんと種を確認していたが、
相変わらずそこには何も生える気配はないのだった。
3週間、4週間、5週間と過ぎたが、やはり変化はなし。
その頃になると、他の社員達は植物について互いに語り合い、
話になる芽もないジムは、落第し置き去りをくらった気分だった。


半年が過ぎた…ジムの鉢にはやはり何の芽も出ていなかった。
ジムは自分の種が死んでしまっているのだと気付いた。
他の社員たちには、すでに木に育ったものや、
背が高く成長した植物を持つ者が出る中、
ジムには何もないのだった。
けれどもジムは、同僚達にはその事をだまっていた。
ただひたすら水をやり、土を肥やして世話をし続けた。
…そうまでしても、種には芽を出して欲しかったのだ。


とうとう一年が過ぎ、その日がやってきた。
現CEOに審査してもらうため、若い社員たちは自分の植物を持ち寄った。
ジムは、空の鉢など持っていけないと妻に言ったが、
彼女はただ、正直にどうなったのかを話すよう、ジムを説得した。
きっと、人生で一番恥をかく瞬間になるだろうと思うと、
ジムは気分もすぐれず、病気になったような気がしたが、
妻が正しいことは分かっていた。
ジムは空の鉢を手に取ると、審査会場へと向かった。


会場で、他の社員達が育てた植物を目にしたとき、
そのあまりの種類の豊富さに、ジムは驚嘆した。
それぞれ異なる、色んな形や大きさ…どれも素晴らしかった。
ジムが空の鉢を床に置くと、同僚の多くは笑い、
何人かはジムを気の毒に思った。


現CEOは到着すると、ざっと会場を見わたし、若い社員たちにあいさつをした。
ジムは思わず、後ろの方に隠れようとした。
「なんとまぁ君たちは、見事な葉っぱに木に、それに花を育てたことだね!」
現CEOは言った。
「今日、諸君の中の誰かが、次の最高経営責任者に任命される日だ。」
と、何の前触れもなくいきなり現CEOが、
会場の後ろの方、空の鉢を持ったジムに目を留めた。
現CEOは、ジムを前へ連れてくるよう、財務取締役に命じた。
ジムは恐怖におびえた。
「CEOは僕が失敗した事を知っているんだ…もしかしてクビになるんだろうか」
ジムが連れてこられると、現CEOは種がどうなったのかを尋ね、
ジムはそれに正直に、全てを打ち明けた。


現CEOはジム以外の皆に座るよう指示した。
そしてジムのほうを見て、若い社員たちに発表した。
「諸君、注目したまえ。これはジム、君たちの次のCEOだ!」
ジムは耳を疑った…自分は種もろくに育てられなかったというのに。
「どうしてジムがCEOになれるんだ!」他の社員達も言った。
現CEOは説明した。
「一年前、私はここにいる皆にそれぞれ種を配った。
その種を植え、水をやり、それを今日持ってくるように言ったね。
だが諸君、私が君たちにやったのは全て、一度熱湯でゆでた種だ。
種はみんな死んでいたはずで、育つのは不可能な種ばかりだ。
ジムを除く諸君は皆、木や、葉っぱや、花を持ってきた。
種が育たないのを知った君たちは、別の種にすり替えたに違いない。
だがそんな諸君の中、私が配った死んだ種を
そのまま鉢にいれて持って来る事のできたジムは、
勇気と正直さとを持つ、唯一の社員だ。
彼こそ、次の最高経営責任者にふさわしい人間だといえるだろう」





  • 正直”を植えたあなたは、“信用”を収穫するでしょう。
  • ”を植えたなあなたは、“”を収穫するでしょう。
  • 謙虚”を植えたあなたは、“寛大”を収穫するでしょう。
  • 忍耐”を植えたあなたは、“平安”を収穫するでしょう。
  • 思慮”を植えたあなたは、“ものを見る眼”を収穫するでしょう。
  • ”を植えたあなたは、“成功”を収穫するでしょう。
  • 赦し”を植えたあなたは、“和解”を収穫するでしょう。
  • 信心”を神様に植えたあなたは、“実り”を収穫するでしょう。


だから、あなたが何を植えるのかに気をつけるのです。
それは後に、自分が何を収穫するのかを決定付けるからです。



*キリスト、イエスだけが私たちの真の喜びや平安の源*